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高森明勅
2015.12.23 10:16

陛下、82歳のお誕生日

12月23日、天皇陛下の82歳のお誕生日。

1人の国民として心からお祝い申し上げる。

と同時に、日々の尊いお務めと深く厚いご恩恵に、改めて深甚の感謝。

今年は家族がそれぞれ都合が悪く、珍しく1人で参賀へ。

時間帯が良かったのか、皇居に着いてからもスムーズに流れて、
第1回目のお出ましに間に合った。

天皇陛下をはじめ皇族方がお出ましになると、
人々は一斉に日の丸の小旗を振って祝意を表す。

私が1人で聖寿の万歳を唱えると、周囲から自然に唱和する声も。

日の丸の波の中、万歳があちこちで起きる。

君民が自ずから一体となる光景。

陛下はメモを用意されていても、なるべく我々の方に視線を
向けながら一言一言、
丁寧にお言葉を賜った。

頭を垂れ、謹聴。

行きと帰りに、それぞれ知っている人たちと会う。

陸上自衛隊の若い隊員たちが、参賀に来た人々に
日の丸の小旗を配るのを手伝っていた姿が、
印象に残った。

今年のお誕生日に先立つ記者会見では、陛下は過半を「戦争」への
ご言及に費やされた。

この1年を振り返ると、様々な面で先の戦争のことを考えて
過ごした1年だったように思い
ます」と。

まことに意味深長。

誤解する向きもあるようだが、陛下はお立場上、政治的なご発言は
控えておられるものの、
政治にご関心をお持ちでない訳ではない。

国の行く末と国民の幸せに決定的な影響を与える政治は、
むしろ極めて重大なご関心事。

その方面の知識も、質量ともに桁外れ。

それを踏まえて極力、抑制的に語っておられる。

従って、勝手気儘な臆測はもとより控えるべきだが、
お言葉に込められたご真意を、謙虚かつ真摯に拝察申し上げるべく
努めるのは、
心ある国民のたしなみだろう。

陛下は更に、こんなことにまでご自身で、わざわざお触れになった。

年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることも
ありました。

したがって、一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、
少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」と。

誠実なお人柄に胸が詰まる。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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